アクシュネットグループは長年、アメリカのPGAとLPGAの女性メンバーをサポートしてくれています。Titleist, Vokey, FootJoy, Scotty Cameronの製品の支給とディスカウントをしてもらえます。私のような出稼ぎの身には、とってもありがたいシステムです。去年から恩恵を受けるにはTitleist University(オンラインセミナー)にパスすることが条件になりました。
というわけで、さっそく私もボールのセミナーを受けました。これ、ほんと面白かったです。
プロトタイプのボールを機械や人が打って実験する際に、真っ平らのグリーンと真っ平らのフェアウェイじゃないと数値にばらつきが出る。だけどそんなコースどこにもないので「自分達で作っちゃった」そうな。Manchester Lane, MAにあるタイトリストのボール専用R&D施設。
Pro V1が世に出る前は、スピン系パフォーマンスボールと呼ばれた糸巻きバラタと、ディスタンス系の固い打感の2ピースボールが売られていました。糸巻きの柔らかい打感とコントロール、2ピースの飛距離の両方を兼ね備えたプレミアムボールを目指して、2001年にPro V1が登場。
Pro V1は、1)コア、2)キャスティングレイヤー、3)ウレタンカバーの3層構造。Pro V1はコアが大きくてレイヤーはとても薄く、Pro V1xはレギュラーに比べるとコアが小さく中間層が厚いです。今年からAVXというモデルも仲間入り。ボールは、ディンプルがついた型の中に液体のウレタンを垂らし、コアとレイヤーでぶにゅーっと均一に押し込んで、たい焼きみたいに半分ずつ作って真ん中をくっつけます。
3者のパフォーマンスの違いはこんな感じ。
ball flight | spin | feel | |
Pro V1x | higher | more | firmer |
Pro V1 | optimal | optimal | soft |
AVX | lower | less | softer |
へええ。V1xのほうが高く飛んでスピンもかかりやすいんだ。だけど打感は硬め。AVXはもっと柔らかいのね。気になるなぁ。
飛行機に例えると、コアはエンジン、ディンプルは両翼なんですって。ディンプルが揚力と飛びを生むのは知ってたけど、左へ行く力を与えるとは知らなかった。ディンプルが半分あり半分なしのボールを作って打ってみると一目瞭然で、ディンプルがついてるほうを右に置いてディンプル側を打つと球は右へ曲がってすぐ落ちて、ディンプルがついてる側を左に置いてつるんとしたほうを打つと球は左へ曲がってすぐ落ちるのだそう。全面にディンプルがないとボールは上がらないし、ぜんぜん飛びません。
もう1つ興味深かったのはコンプレッションの話。昔は90とか100とかボールに書いてあって、ヘッドスピードが遅い人はコンプレッションの低いボールを使うべきだと言われていました。コンプレッションとはボールの硬さを表します。0.1インチつぶすのにどのくらいの力が必要かという、40年代にアメリカでパテントが認められた測定方法があります。単位はkgf(kilogram-force/キログラム重)。数値が高いほど硬いってことですね。構造や素材が複雑になるにつれて測定が難しくなり、現代のボールにコンプレッションは表記されていないことが多いです。加えて、ヘッドスピードの違うドライバーやショートアイアンで打っても、ボールがつぶれる度合いにはほとんど差がないことが分かっています。タイトリストも、「コンプレッションは単に相対的な打感の柔らかさであって、プレイヤーの好みに関わるもの。ボールのパフォーマンスに違いを生まない」と言っています。
打感の違いは主にコアの素材で決まります。一般的には柔らかく感じるボールほどショートゲームのコントロールが良くなり、これがスコアにつながると言われます。しかしコアに加えてディンプルのデザインやキャスティングの厚み、さらにヘッドスピードとの組み合わせによって、ボールの初速やフライト、スピン量が変わるので、一概に柔らかい=スピンがかかって止まる、硬い=たくさん飛ぶ、とは言えません。
じゃあボールはどうやって選べばいいの?!うふふ。短いショットを多く打ってみて、一番打感がしっくり来て距離コントロールをしやすいボールがいいんですって。なるべくピンに近づけられたほうが短いパットが残り、よりパットが入ればスコアメイクの確率が上がりますからね。
パットの打感でボールを選んでいる、というショートゲームが上手なお客さんもいらっしゃいます。
私はPro V1 w/pink numbersを使っています。去年ホールインワンした縁起のいいボールでもあります(笑)。Pro V1はドライバーで強く叩くとドッカーンと重いものが飛んで行き、柔らかく打つとガリッとからんでふわりと軽く飛ぶイメージがあります。アイスホッケーのパックは、強く打つと球離れがよく、ゆっくり運ぶとスティックに乗る時間が長くなるそうです。このゴムの特性をゴルフボールに活かしたというのを前に聞いたことがあります。
セミナー面白すぎる。他のコースも受けたい。またレポートします。